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人は感情から老化する

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■そもそも「感情」とはなにか?

エニアグラムを学び始めた頃に、「そもそも感情ってなんだろう?」と考えたことがあります。

エニアグラムには9種類の性格のタイプがあって、さらにそれが「感情、本能、思考」という3つのタイプに分類されるのですが、この3つは「中枢(センター)」という区分になり、「主にここを使って世界を感知している」というのが中枢です。

 

そうやってエニアグラムを理解しようとした時に、「そもそも感情ってなに?」と私は思いました。

感情っていうのは「嬉しい」とか「悲しい」とか感じるあれですよね?喜怒哀楽。

それも感情ですが、そこは感情「表現」の部分ですよね。「感情」というものが動いて、伝わって、表層に表現として出てくるのが喜怒哀楽。

もっと深部の、そもそもの感じたり動いたりしているところはどこにあるのか。

 

そう考えていくと感情っていうのはすごく掴みどころのない、「大きな何か」しかわからなくなって、学び始めの頃の私は混乱しました。

■感情を司る脳

この本で言うところの「感情」というのは、それを司る脳の部分のことを言っています。

認知が衰えた老人の脳を、たくさん見てきた臨床医の和田秀樹先生が、年間100~200枚の脳の写真を見てきた中から、人間はどこから老化するのかということ、そしてどのように老化していくのか、なぜ老化するのかを観察し、実感とデータをもって書かれたのがこの本です。

 

私がこの本を手にしたのは「感情が老化する」という言葉に、ある思い当たるふしがあったからでした。

 

■ウチは認知症の家系なのか?

ここからちょっと、私事なのですが

私の母は認知症で64歳で亡くなりました。

 

発症はその10年ほど前なので50代半ばか、ちょっと前。私は今アラフィフなので発症当時の母の年齢にだんだん近づいています。

母の母(私の祖母)も認知症になりました。祖母は母より10年遅れて60代半ばから調子が悪い傾向を見せ、70代後半から怪しくなり、80代の2018年現在も元気ですが、もうすっかり何も分からない状態です。

 

こうして見ていくとウチの父なんかは「遺伝やわ」と軽く言ってくれるんですが、それでいくと私も同じ道辿ってしまうやん!オイッ!Σ(=_=;)

ちなみに父方の方は祖母は大変に気丈な人で、最期の最期まで自分の面倒をみるほどの立派な気丈さを持ち、大往生を遂げました。その息子である私の父もまた祖母に鍛え上げられた精神の持ち主で、73歳で現役山師に返り咲いてます。(有名人で誰に似てるかって言うと、映画「猿の惑星」のシーザー)

■三代さかのぼって見えてくるもの 

こうして見ると私には2つの道が選べるような気がします。

母方の道と、父方の道。

 

私が母の認知症に気づいた頃というのは、私がちょうど人生の中間に入る頃。まさにミドルクライシスとか、中年の危機という頃です。

私は母に何が起こったのかを知りたくて探究していきましたが、その中で油脂のこととか、エニアグラムだとか、いろんな事に出会いました。この本もその中の一冊です。

 

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■思い出せない、覚えられないのは記憶力のせい?

いわゆる「ボケる」という状態になってきた時、私たちはどうしても「記憶力が落ちた」と考えがちです。

覚えられない、思い出せない、あ~もう最近ボケてきたー、というのは中年以上の大人であれば誰しも日常の中で冗談半分に嘆いたりしていると思います。

「1つ覚えて、2つ忘れる」なんて、きみまろのジョークがシャレになりません。(=_=;)

 

こうした能力の低下は、脳の記憶を司る部分の力の「海馬(かいば)」が弱くなっていってるのだろうと聞きかじりの素人は思ってしまいます。

老化で海馬の働きが悪くなっちゃうのかな、というイメージです。

 

脳の老化は神経細胞の減少によって起こる「委縮」という形で表れます。衰えてる機能というのは、そこを司る脳の部分も委縮してる、縮んでいってるってことなのですが。

その委縮は老化により海馬にも表れるものですが、意外なことに、物忘れがひどくなったり、記憶力が落ちているからといって真っ先に海馬が委縮しているわけではないそうです。

じゃあどこなのか?というと、人間の脳でまっさきに老化していくのは「前頭葉(ぜんとうよう)」。

 

■前頭葉ってなに?

前頭葉というのは頭の前らへんのおでこあたり、というのが一般的な漠然とした理解ではないかと思いますが、たしかにそのへん。

 

その前頭葉は、「思考、意欲、感情、性格、理性」などを司り、『感情に基づく高度な判断を担う、いわば司令塔』で、

『映画やドラマを観たり、小説を読んで感動することや、そこから誘発されたりすることが前頭葉の働きである』(『』二重カッコ部分は本文からの抜粋)

 

何らかの刺激や情報に対して生じる原始的な反射・反応を、受けて「どうするか」考えたり、判断するという、高次の機能を担っているのが前頭葉なのですね。そして、その前頭葉がよく働くことが人間らしさでもあります。

こうした一連の感情の働きは「意欲や自発性」にも影響し、その結果どういう判断をして行動をとるかということにもつながっていきます。

 

認知症に見られる、「あれ?」と思うような行動。

「同じことを何回も言う(する)」とか、「新しいことをしなくなる」という典型的な行動なども、前頭葉にある部分の老化によって起こることも本書にはわかりやすく書かれています。

 

■『人間の脳は前頭葉から縮み始める』←☆ここがこの本のポイント☆

海馬も老化によって縮むのですが、人間の脳がまっさきに縮んでいくのが前頭葉なんだそうです。

老化により人間の前頭葉にはどんなことが起こっていくのか。とても興味深いので、興味のある方はこの本をお読みになるのがオススメです。祥伝社新書から2006年に出てる本で、よく売れた本のようなのでブ〇〇オフでも手に入ると思います。(私もそこでみつけたんですが)

 

■物忘れより先にくる衰えは・・・

私たちは自分の記憶力の低下を感じたり、他人が同じことばかり言うようになるのを見かけた時(←自分のことは気づきにくいですよね)、老化してきてることを実感すると思います。

ですが、脳の老化しやすい順番でいくと、そういう問題が起こるより先に衰えていく行動があるのがちょっと衝撃的。

 

それは「自発的な意欲」とか「気持ちの切り替え」

中年期以降というのは、疲れやすくなったり、色んなことがおっくうになる、ということが起こりやすいと思うのですが、「もう若くないから、体力落ちてるからかな」と思って諦めてたらあぶないのかもしれません。

意外なことに歳をとっても体力や知力は思ってたより落ちないそうです。(データもあります)

 

私たちが「老化」を感じる時、それは知力や体力が落ちてそうなっていると感じているものが、じつは前頭葉(感情)から老化しているのだ、という。

この事実には意外さに驚きつつも、納得のいく「なるほど」といった感じが伴います。

 

■私の実体験からくる「なるほど」感

さらにオソロシイのは、その老化が始まる時期なんですが。

『前頭葉の老化は早ければ40代、50代から始まる』

((( ;゚Д゚)))←meアラフィフ

誤解を恐れずに言うと、私の母はタイプ5だっただろうと思われ、典型的な「囚われ」を克服できないまま中年期を迎えていきました。そして漠然とした、本能的、直感的な不安感と焦燥感を感じたまま、この前頭葉の老化になす術もなく引き込まれていったと思います。(という観察)

 

別にタイプ5が認知症になるタイプという話ではないんです。

 

別の例でいうと、母方の祖母はおそらくタイプ2で私と同じだったと思われますが、認知に無縁だった父方の祖母もタイプ2だったと思われます。(家族ならではの検証による推測ですが)

 

タイプは同じであろう2人の祖母の最期の違いは、私から見るとやはり「囚われ」をどれくらい克服できているかどうかでした。

「囚われ(とらわれ)」というのはエニアグラムでは、タイプの本質からくる特徴がもつ「こだわり・執着」から生まれるマイナス要因で、ここを越えられない、克服できずにいると「臭いものには蓋」をした状態になり、そこから「ゆがみ」になります。「ゆがみ」は新しい問題を作り出したり、問題をさらに難しいものにしていきます。

 

私の母方のほうは、そうした「囚われ」を抱えたまま、「老化」を迎え、良くない方向へと加速した結果なんだろうと、私は思います。

 

言葉にしたらけっこう簡単なんですが、「囚われ」を克服するのは簡単なこととは言えません。

それ自体はけっこう簡単なことだったりはします。他人から見れば「そんなこと」ぐらいでも、本人にはものすごい根強い力を持ったものです。それももともとは本人の特徴からくる「こだわり」ですから「執着」するのも無理もないので。

 

■囚われから脱却するチャンス

囚われから脱却するチャンスは、人生や日常の中で「危機」という形で訪れます。

嬉しくない形ですが、自分で「これが自分の囚われなんだ」って気づける時はどうしてもそういう形になります。それを「嫌な目に遭った」で済ませるのか、「気づくチャンス」と捉えなおしてみるか、その選択は自分にしかできません。

 

その選択も、そもそもの前頭葉が健康に働いていないと「危機」を「チャンスだ!」と思うのは難しくなるのではないかなと思います。

 

前頭葉の老化を防ぎ、若々しく生きるためにできることもたくさんあります。

まずは「知る」のが第一歩なので、「脳って感情(前頭葉)から老化するんだ~」ということを知って、そのことを意識に上げるところから始めるだけでも違いがあると思います。

この本では『「感情の老化」が防げれば「肉体の老化」はかなり防げる』と言われていて、意識や認識が変われば行動も変わるはずなので、アンチエイジング効果が期待できます。

 

どうすれば前頭葉をしっかり働かせて生きていけるか、という探究は

また別の投稿で書いていきたいと思います。